オーストリアでは、世界で初めて、3Dプリントで作られた代替サーモンが一般向けに発売されたそうだ。
代替食品スタートアップ企業「Revo Foods」社が開発した3Dプリント・フィッシュ「THE FILET - Inspired by Salmon」は、この9月から、オーストリアのスーパーマーケットの棚に並んでいる。
その主成分は、真菌類の一種である糸状菌から作られる代替タンパク質、「マイコプロテイン」で、を動物性成分はいっさい含まれていない。
それでいて本物のサーモンの美味しさと食感が再現されており、一般的な栄養評価でも最高クラスの評価を取得しているそうだ。
【画像】 糸状菌由来の代替タンパク質を3Dプリントして作るサーモン
多くの魚が乱獲により、絶滅が危惧されているというRevo Foods社によると、世界の魚資源の最大60%が乱獲されているそうだ。
こうした乱獲は、生態系の破壊にもつながるという。そこで開発されたのが3Dプリントした代替魚だ。
3Dプリンターで作られる食品は、自然の魚をとらずとも魚の味わいを楽しむことができるため、海や川の環境を守ることができる技術だという。
一般に代替魚には、魚の食感や風味を再現するために、大豆などの植物由来のものや藻類や海藻などが使用されるが、Revo Foods社の代替サーモンがユニークなのは、糸状菌からつくった代替タンパク質「マイコプロテイン」を使っているところだ。
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糸状菌は、一般的に「カビ」と呼ばれている生物で、お酒や醤油などの発酵食品や、医薬品の生産(発酵工業)などに使用される有用微生物としての一面がある。
THE FILET – 3D Food Printing will change everything | Revo Foods
この工夫のおかげで、タンパク質・オメガ3ともにたっぷりで、栄養スコア(欧州で導入が進んでいる栄養評価)で「A評価」を獲得しているそうだ。
image credit:Revo Foods/span>
本物のサーモンと同様の味わいと食感を再現
そもそも3Dプリンターで作る魚は、栄養ならば比較的自由にカスタマイズできる。だからコレステロールを少なく、健康的な脂肪酸を豊富にするといった商品開発もできるし、天然魚に含まれがちな汚染物質も含まない。
こうしたさまざまなニーズに合わせて製品開発しやすいのは、3Dプリント食品の大きな強みの一つなのだという。
だが一番の課題は、本物の魚らしい味わいと食感を再現することだ。そのために、世界中の開発者が適切なレシピやプリント方法などの研究に日夜励んでいる。
こうした努力から生まれた技術の一つが、Revo Foods社の革新的な押し出し加工法だ。これによって、THE FILETでは魚特有の”フレーク感”とみずみずしい”繊維感”がきっちり再現されている。
こんがり焼かれたTHE FILETの写真を見れば、きっとヴィーガンならずとも食べてみたいと思うだろう。

image credit:Revo Foods/span>
大量生産に対応した技術
もう一つ重要な進歩が、特許申請中の「MassFormer™技術」だ。これによって、ついに3Dプリント・フィッシュを大量生産できるようになったのだ。このほどスーパーマーケットの棚に並ぶようになったのは、この技術の存在が大きいようだ。産業スケールの3D食品プリンティングという一里塚に到達したことで、私たちは創造的な食品革命の時代に突入しつつあります。2023年9月よりオーストリアではスーパーなどの小売店で販売が開始され、ネット通販も行われている。
これからは顧客のニーズにぴったりな食品が作られるようになるでしょう。ただビーガン向けの代替品を作っているわけではなく、食の未来そのものを作り出しています(Revo Foods最高経営責任者 ロビン・シンサ氏)
現在Revo Foods社は、THE FILETの売れ行きを見守っているところだ。目新しい製品であるために、消費者がどのくらい受け入れてくれるのか未知数なところがある。

image credit:Revo Foods/span>
Dプリント・フィッシュは、普段の生活だけでなく、宇宙旅行や非常食のような分野でも利用できるという。
持続可能な食生活を守るために、今後ますます3Dプリント食品が増えていく可能性も否定できない。
References:Vegan Salmon Filet becomes first 3D printed product available in supermarkets. / World first: 3D-printed vegan salmon now in supermarkets / written by hiroching / edited by / parumo

(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
食べ物で遊ぶな。鮭に失礼だろ!?あっ食べ物じゃなかったか(混乱)
今まで食べ物じゃなくても、食べ物と認識した瞬間に物体が食べ物に変わるから食べ物で遊ぶなでOK あと鮭は乱獲よりも河川のダムなんかの開発や廃水なんかが原因で減ってるから、食べる食べないは根本的な話じゃない
そんなことをしてまでサーモンを食いたいのかねぇ……代替サーモンを作るよりも、サーモンを増やす方に心血を注いだ方が良いと思うのだが。
菌類は系統的には動物に近いからな。祖先となる単細胞生物は共通で、後ろに一本の鞭毛が生えている形、オピストコンタ・後方鞭毛生物と言われている。多細胞化した形状に共通点はないが、どちらも生殖細胞世代の*の形状にその名残がある。タンパク質の組成的にも近いのかな。
サーモンの形をしたキノコ
サーモン(キノコ)か…… 大豆よりはマシかも知れんけど、現状のキノコで肉の代わりを作れないように、結局はガッカリな内容になりそうな気がするな。ビーガンには良い話題かも知れんがね。
どうなんだろ。世界の人口は今後も増え続けるだろうし資源保護する以上に食べつくされてしまうかもと考えるとこういうのも一つの選択肢かもしれない。ただ味が違うならそれはサーモンの代わりにはならないよな。ちょっとためしに食べてみたい気はする。
マクロスやシドニアの騎士みたいな播種船を運用する様な未来になれば一般的になるかもしれないが、そもそも現状のもっと根本的な問題から目を逸らしてるだけのナンチャッテ代替案ならあまり良い結果にはならなそうな。
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