昭和を代表するゲームハードとして名高いファミコン、スーパーファミコン。同時代を生きた人たちであれば誰もが一度は触った経験があるであろう、そんな有名ゲーム機のソフトに、近年、骨董的美術的価値がつき始めていることをご存知でしょうか。
「『スペランカー』は10万円、『エキサイティングボクシング』は数十万円、その他のファミコンソフトは…? “意外な作品”が高騰するレトロゲームの世界」では、“ファミコンソフト”のプレミア化について紹介しましたが、今回は“スーパーファミコンソフト”に絞って、その熱狂ぶりを紹介していきます。
プレミア化しているスーパーファミコンソフトを画像で一気に見る
数百万円の価格になるスーファミソフトもスーパーファミコンのソフトはファミコンよりも多くの本数が出荷されていたため、(もともとの定価こそファミコンよりも高額だったにもかかわらず)発売直後から1280円、980円、480円……と叩き売られることも珍しくありませんでした。
しかし、そうしたソフトの中には現在、数万円や数百万円の価格になっているものがあるのです。あなたの家にも、もしかしたら、お宝が眠っているかもしれません!
「どうせ新品同様のきれいなものじゃなきゃダメでしょ……」と思われるかもしれませんが、そんなこともありません。説明書だけでも、カセットのみで傷だらけの状態でも、10万円という値が付く場合もあるんです。それでは、奥深きスーパーファミコンソフトの世界を見ていきましょう。
※発売年は日本での発売日を参照
※価格目安はレトロゲームの大手販売店「スーパーポテト」での近年の箱付き並品販売価格を参照
※価格遷移はおおよその発売当時売価(ワゴン価格)→2010年時点の価格→近年の価格の順で掲載。特記がないかぎり完品での価格です
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●ファイナルファンタジーⅣ(1991年発売)/10000円(4000円)→1000円→1000円~50000円
日本を代表する王道のRPGゲーム『ファイナルファンタジー』は、1から3までのシリーズがファミコンで、4から6までがスーパーファミコンでリリースされました。
本作は、どのナンバリングも爆発的な売上を記録しているため、市場に多く出回っています。そのため、プレミア的価値がつくには“完品美品”が必須とはなるものの、中古美品で1万円近く、新品同然の状態であれば5万円ほどの値段になることもあり得るのです。
特別珍しいわけではない作品がプレミア化する理由しかし、なぜ、『ファイナルファンタジー』のように、市場に大量にソフトが流通している=特別珍しいわけではないにもかかわらず、市場価格がプレミア化しているのでしょうか。
それは、誰もが触れたゲームだからこそ、「好きなゲームをモノとして持っておきたい」「きれいなジャケットを飾りたい」と考える人が多いという理由。
ゲームをプレイするだけなら、バーチャルコンソール版でも楽しめるので、ソフトを求める人は鑑賞・コレクション用に買う方がほとんど。そのため、有名タイトルでも、状態がよければ市場価格が高騰するわけです。
●スーパーメトロイド(1994年発売)/10000円(3000円)→2000円→10000円~20000円
CMで使われた「メトロイド、オモロイド」という駄洒落キャッチコピーが印象的だったシリーズ2作目『メトロイドII RETURN OF SAMUS』(ゲームボーイ)に続く、『メトロイド』シリーズ3作目として発売された『スーパーメトロイド』も近年プレミア化が進むソフトの一本。
本作も爆発的に売れた作品なので、市場に数は出ているのですが、『ファイナルファンタジー』と同様の理由で完品美品の価格は非常に高騰しています。『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』、『スーパーマリオ』シリーズといった超大手ゲームだけでなく、ゼルダやマザー、そして本作のメトロイドなど、主要キャラクターそのものの人気が高い作品は価格が高騰しやすい傾向にあります。
●悪魔城ドラキュラXX(1995年発売)/10000円(4000円)→3000円→20000円~50000円
ファミコンディスクで初代が発売された「ドラキュラシリーズ」は、ムチで敵を倒していく独特の操作感、そして、当時としては少なかった“不気味な敵キャラ”が一部ファンの心を鷲掴みにしたコナミ製の人気アクションゲーム。
コナミタイトルは海外からの評価が高い傾向にあり、本作も「キャッスルヴァニアシリーズ」という名称で多くの人から愛されていた作品のひとつ。そのため、近年のレトロゲームブーム以前から、求める人が多く、そのぶん値段が高かった作品でした。
鉄板の高騰パターンも!●奇々怪界 謎の黒マント(1992年発売)/10000円(4000円)→3000円→20000~60000円
これまで紹介した作品に比べると、知名度が高いタイトルではありませんが、現在もシリーズの新作が発売され続けている『奇々怪界』。
本作のようにかわいらしい女の子がメインキャラクターになっているレトロゲームは、現在軒並み高騰しています。発売当時もコア層が買っており、現在も、新たにファンになったり、当時手に入れられなかった根強いコア層が引き続き求めているという流れで、プレミア化している格好です。
●コットン100%(1994年発売)/10000円(4000円)→1000円→20000円~40000円
パチスロにも起用された魔法使いの女の子・コットンが主人公のシューティングゲーム『コットン100%』も、『奇々怪界』同様にキャラクター人気から価格が高騰しているタイトルの一つ。
いかにキャラクター人気がプレミア化に大きく影響しているかがよくわかることでしょう。
なお、スーパーファミコンが覇権を握っていた時代は、CDの全盛期でもあり、スーパーファミコンソフトにオマケでCDが付くパターンも多くありました。本作『コットン100%』もCDが付属しており、その他の帯やアンケートハガキなどの付属品が残っていればいるほど、高値で取引されています。
●ファイナルファイト・ガイ CD付き(1992年発売)/10000円(4000円)→3000円→20000円~50000円
『ファイナルファイト』はアーケードで大人気だったベルトスクロールアクションゲーム。かつてゲームセンターで熱中した人も多いのではないでしょうか?
移植されたスーパーファミコン版では、容量の関係から、初期作ではガイというキャラクターが収録されないまま発売されました。しかし、技術が進歩し、後年、ガイが収録されたバージョンも発売されることに。そして売り出されたのが『ファイナルファイト・ガイ』で、現在のレトロゲーム市場で人気を集めています。
通常の『ファイナルファイト』に比べて、発売されている本数が少ないのが、プレミア化の大きな理由。また『ファイナルファイト・ガイ』には、CD付きとそうでないものがあり、CD付きのほうが希少性が高いため、そのぶん価格も高騰しています。専門店では、CDの帯がないだけで、1/10の買取り価格になるお店も……。それだけ、付属品は重要というわけです。
●であえ殿様あっぱれ一番(1995年発売)/10000円(4000円)→3000円→50000円~10万円
パッケージからもわかるように、殿様がマッチョになり敵を倒していくアクションバカゲー『であえ殿様あっぱれ一番』。
スーパーファミコンの初期であれば、こうしたキワモノでも売れましたが、本作が発売された1995年はスーパーファミコン後期。作品そのものは良作なのですが、その時期に、この手のゲームはあまり受け入れられませんでした。
そこから数十年の時を経て、良作という評価が広まり、「やってみたい」「所有したい」とニーズが高まった結果、今では10万円ほどの価格でやり取りされるソフトとなりました。
これくらいのプレミアソフトになると、カセットのみで状態がそれほど良くなくても1万円~2万円はするので、精巧な偽物がつくられることもあります。
その他、スーパーファミコンソフトで高額になっている『レンダリングレンジャー』『マジカルポップン』『ポコニャン』などは、10万円~50万円位が相場。そのため、これらのソフトはより高度な贋作が作られていて、写真だけでは判別が難しく、知識がなければ現物を見ても真贋鑑定が難しいほど。市場価格が高くなればなるほど、偽物も精巧になるのです。
そうした背景から、真贋の判断ができない人らからの買い控えがおき、一時期に比べると市場価格は落ち着きました。それでも、50000円~10万円ほどでやりとりされているわけですから、レトロゲームのバブルぶりは本当にすさまじいことになっています。
●ラブクエスト(1995年発売)/10000円(4000円)→3000円→50000円~10万円
結婚式の途中で失踪してしまった花嫁をマザコン青年が探しだすという設定。そして、基本的なコマンドも、「戦う」ではなくて、「敵の女の子を口説く」という一風変わった方式なため、バカゲーと呼ばれることも多いRPGゲーム『ラブクエスト』も価格が高騰しているソフトの一つ。
当時のスーパーファミコンのRPGは、『ドラクエ』『FF』『聖剣伝説』『クロノ・トリガー』『ライブ・ア・ライブ』『天地創造』など、王道の設定・ストーリーがメインであり、このような奇抜な設定はゲーマーからあまり受け入れられず、販売された数が少なかったことがプレミア化の大きな要因です。
女の子をはじめとしたデザインを、漫画家の弓月光先生が担当しているため、コア層からの人気も相まって、美品であれば10万円ほどの価格でやり取りされることも珍しくありません。
●SFメモリカセット ウィザードリィ1・2・3 遊び方シート付き(1999年発売)/7000円(なし)→3000円→50000円~10万円
スーパーファミコンのカセットのなかには、おもちゃ屋やゲームショップではなく、当時全盛期を迎えつつあったコンビニ業界、中でも、当時トップと僅差の店舗数を誇ったローソンが任天堂とタッグを組んで、店舗で中身の書き換えができることを売りにした「SFメモリカセット」もあります。
しかし、ファミコン版の「ファミコンディスクカード」と比べると、あまり売れませんでした。
ここで紹介する『ウィザードリィ』も書き換え限定で発売されたソフトで、近年の『ウィザードリィ』人気も相まって価格が高騰しています。本作以外にも、書き換え限定のタイトルの高騰は続いており、書き換えの際に購入できた遊び方シート(説明書のような1枚の紙で当時は20円~30円)が付いているものはより高い価格でやり取りされています。
●聖剣伝説3 非売品バージョン/非売品のためなし→3000円→50000円~10万円
通常バージョンの『聖剣伝説3』は、現在の市場価格が2000円~3000円ほどですが、現在10万円にも上る価格で取引されているこちらの非売品ソフトは、プロモーション用に配られたもの(当時のスクウェア系のソフトにはプロモーション配布されたカセットが多かった)。
聖剣伝説3は人気タイトルの新作であり、配布されたプロモーション用のソフトも大量に出回ったのですが、非売品であるため、高価で取引されています。
この他にも、スーパーファミコンには非売品が多数存在します。なかでも高額なものをあげれば、『くにおくんドッジボール』は50万円~100万円、プレゼント景品だった『スラムダンク』は50万円ほど、同じくプレゼント景品だった『ヨッシーのクッキー』は30万円ほどの価格。
一方、非売品でも、『ボンバーマン』や『テトリス』は出回った数も多く、並品で約5万円、美品でも10万円ほどとそこまで高騰していません。非売品だからといって、“超”高額になるというわけではなく、出回り具合やニーズによって大きな差があるわけです。
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なお、レトロゲームコレクターである僕のスーパーファミコンソフト所有物で、一番貴重なソフトは『リーサルエンフォーサーズ』のファミ通版。ゲーム内容は通常版と同じガンシューティングゲームなのですが、このファミ通版は、ファミ通編集部の人達がキャラとして出てくる特別仕様でプレゼントされた10本+編集部の見本用しかないというレアさ!
スーパーファミコン版と同時に出されたメガCD版が、大手通販ショップの駿河屋で買取り価格が55万円となっていたり、2022年にはヤフオクで110万円で落札されるほど、価格が高騰しています。スーファミ版は、メガCD版よりも珍しいため、数百万円の価値があるといっても過言ではないでしょう。トップコレクターの僕の所有するゲームの中でもトップクラスのレア物です。
なお、今回紹介したようなレアタイトル以外にも、現状のニーズはあまりないものの、発売本数が極端に少ないため、これからの価格高騰が期待される注目ソフトが存在します。それは、ゲームをするためでも観賞用でもなく、単にコンプリートしたいがためだけに必要なソフトです(例:スーパーファミコンにおける、囲碁を“見る”ゲームである『囲碁指南'94』など)。
このようなものはネットにも情報は少なく、安価に出品されることもあるので、市場にはまだまだお宝が眠っています!
もちろん、希少性だけがゲームの価値ではありませんが、レアなソフトを求め続けるのもゲームをめぐる楽しみの一つ。気になった方は僕と一緒にコレクター道という深い沼を楽しんでみませんか?
(ゲーム芸人フジタ)
(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
小学生の頃、これを見越してソフト交換屋(名称多数あり)という基準が曖昧なおじさんがいたな。2,3日くらいで各地を転々としては、新旧問わず、提示したソフトを同等?の別のソフトに交換してくれるやつ。たぶんあれが今で言う転売屋なんだろうね
読みにくい記事だ……
こんな記事で原稿料幾ら貰ってるのか教えてくれ
メモ帳レベルの記事で金が貰えるのか・・・
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