高橋留美子の伝説的マンガ『うる星やつら』が36年ぶりに再びアニメ化される。『うる星やつら』は、1980年代に一世風靡したSFラブコメディ。時代を作った名作と謳(うた)われ、昭和後期の文化を代表する作品であり、後のマンガ・アニメ文化に多大な影響を与えた。新たに蘇ることになった本作はどんな魅力を持っているのか振り返り、今アニメ化される意義を考えてみたい。
【写真】令和に復活! ポップな色彩で帰ってきたラムやあたる『うる星やつら』第1話場面写真
■SF、オカルトetc...何でもありのラブコメディ
『うる星やつら』は、友引町という架空の町を舞台に繰り広げられるドタバタSFラブコメディだ。女好きの高校2年生、諸星あたると彼にぞっこんの鬼族の娘ラムを中心に、個性豊かなキャラクターたちが奇想天外な物語を繰り広げる。
かわいくて一途なラムに愛されながらも超浮気性のあたるは、幼なじみのしのぶや年上の美女で巫女のサクラなど、いいオンナには手当たりしだいにちょっかいを出しては、ラムの怒りを買い電撃ショックを浴びせられる毎日。さらに、容姿端麗で資産家だけどあたるに劣らない女好きの本性を持つ面堂終太郎が転校してきて、複雑怪奇な恋愛関係を形成していく。
本作はそんなラブコメディを、SFやオカルト、お化けといった土着の伝承などの要素をふんだんに盛り込んで展開していく。ラムを追っていろいろな異星人が登場しては騒動を巻き起こしたり、タイムリープや奇妙な幻想空間に巻き込まれたり、時には超常現象が起きるなど、しょっちゅう町中が大騒動になるが、終われば何事もなかったかのように日常が戻ってくる。
登場人物たちはトラブルに巻き込まれても過度に落ち込むことはないし、痛い目を見ても反省することもない。いつまでも成長することなくあたるは女の尻を追いかけまわし、ラムは電撃を食らわせるという「痴話げんか」が永遠に続くかのような、楽しい箱庭空間が展開していく。軽薄で表層的ともいえるが、むしろそれが本作の最大の魅力であり、圧倒的に前向きなエネルギーが充満している作品だ。
■新たな息吹を吹き込むキャストたち
本作は原作マンガが連載していた80年代にアニメ化されている。原作とは異なるエピソードやテイストも盛り込まれたアニメ版は、押井守監督などの才能を世に広く知らしめることにもなり、アニメ版も名作として名高い。
名作と呼ばれる作品に、新たに命を吹き込む作業は大変なプレッシャーだろう。特に一新された声優陣は、大先輩の残したイメージを引き継ぎつつ、それを乗り越えねばならない。
そんな重責を担うことになったのは、ラム役の上坂すみれ、あたる役の神谷浩史を筆頭に人気、実力を兼ね備えたトップ声優たち。現時点で発表されている予告編、PVを観る限り、どのキャストもハマり役だ。
ヒロインのラムは、おそらく多くの人にとって声とセットでイメージが出来上がっているだろう。上坂すみれはそのイメージを今に引き継ぐうえでぴったりの声質だ。あたるというキャラクターは軽薄だが、そのまま演じていては視聴者の心をつかめない。神谷浩史の誠実さを感じる声と演技は、軽薄なキャラクターに絶妙な陰影を与えている。
イケメンだけど中身は女好きという、裏表の激しい面堂終太郎役は宮野真守。端正な顔立ちだが、実はケレン味ある芝居も得意な宮野の持ち味が存分に生かせる役どころと言えるだろう。裏表という点では、ラムの幼なじみのランも激しい二面性を持っている。ぶりっ子な表面と逆上しやすい裏の本性を花澤香菜なら見事に表現してくれるだろう。
そのほか、しのぶ役の内田真礼、雪女であるおユキ役に早見沙織、スタイル抜群の巫女サクラは沢城みゆきとその婚約者つばめ約に櫻井孝宏、カラス天狗の女性クラマ姫役には水樹奈々と実力派がそろっている。
誰にとっても偉大な先達を乗り越えるのは簡単ではないだろうが、かつての名作に敬意を払いつつ現代に新たな息吹を吹き込んでくれるはずだ。
■2022年の視聴者に『うる星やつら』はどう映るのか
本作は、前述した通り80年代の日本カルチャーを代表する作品だ。名作は時代を超える力を持っているとはいえ、当時の日本社会の空気感を如実に反映した作風でもある。80年代の日本社会は、高度経済成長期の恩恵を受けて絶好調だった。日本製の製品が外国で飛ぶように売れ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉が流行し、日本の行く末について楽観的な時代だったのだ。
本作の豪快な勢いと何でもありな作風は、そういう時代だからこそ一世風靡したという側面があるだろう。
ひるがえって2022年の日本は、80年代とは対照的だ。人口は減少し経済力も落ち込み、日本の将来について明るい展望が描くのは難しい。そんな時代に、本作のはちゃめちゃなキャラクターはどう受け止められるのだろう。
しかし、そんな時代だからこそ『うる星やつら』の異様なエネルギーは輝くかもしれない。
フジテレビの尾崎紀子チーフプロデューサーは、令和の時代に本作を再びアニメ化する意義について、「地球規模の巻き込まれ案刑でも楽観的に受け止め、度が過ぎて痛い目にあってもめげないタフさ、不条理をものともしない精神力。降りかかった災難も好機も全力で味わい尽くす彼らのエネルギーを受け取ってほしい」と語っている。(※1)
たしかに、本作には令和の日本に一番足りないエネルギーが充満している。何が起きても生き生きとしているキャラクターたちに励まされることも多々あるかもしれない。
何でもありだったがゆえに、どんなとんでもないことが起きても動じない。その驚異的な生命力は、新しい世代の視聴者にとって新鮮なはずだ。ハチャメチャでパワフルな彼らの姿に、ぜひとも衝撃を受けてほしい。(文:杉本穂高)
アニメ『うる星やつら』は、10月13日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて毎週木曜24時55分放送。
※1 昭和から令和へ…『うる星やつら』P語る再アニメ化の真意「現在の常識では通用しない行動から力を受け取ってほしい」ORICON NEWS
(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
昔のアニメのリメイクは画質が良くなって観れるのは良いけど、時代に合わせてポロリとかが削られてるのが残念。
ハチャメチャ具合なら2000年代に究極のラブコメがあるやん。アニメ化もされたし、認知度で言えばジャンプ作品でも指折りだろ。そうだよ。エロティックな表現の新たな技法を数多く生み出した、あの作品だよ。分かるだろ。
かなり現代風に改変されるだろうし、80年代風の雰囲気は無いだろうね。今じゃ理解出来ないネタや通用しないネタもあるだろうし。電話使うシーンもスマホで会話するだろう。それよりもオリジナルのキャラ像を改変しなければいいと思うね。
PV見たらアニメのリメイクというか昔のより原作寄りなキャラデザだわテレビはブラウン管だわで原作そのまんまって感じだった
80年代のうる星やつらのノリをそのまま令和にもってきたのは押井監督のぶらどらぶの方だと思う、個人的には面白かったけどあまり世間ではうけてなかった気がする、PVを見た感じ昭和のうる星とはまただいぶ違う感じがして今から楽しみ
あ゛~様>>テレビはブラウン管~ そうなんだ! それはそれで楽しみw今回はメガネがいないので、本当の意味でのうる星やつららしいので、興味深いですね。って当時のアニメオリジナルも見た事ない自分だけど。
PV第2弾を見ればほぼこれで行くかと思うがね。
『うちのダーリンだっちゃ!!』みたいな喋り方をする女の子は、昭和、平成、令和と年号が変わっても見た事ないな。多分、アニメだから許せる領域だと思う。そこら辺が、昭和も令和も同じだと思う。
アニメと現実の境界線、そこのボーダーラインを越えれば、客観的に見て、ウザくなるという境界線だ。まぁ、アニメだから、まぁ、創作物だからと思える令和は素晴らしい。昭和で、女の子いっぱいアニメを語ればヲタクというより、クラスメイトからも避けられる時代だったからね。『キモい』という言葉すらない昭和時代は、アニメの市民権というモノがなかった。
今は、ドラマよりもアニメの方が輝く時代になった。逆に、アニメの真似をしたドラマを観てブーイングする時代だ。昭和と令和、全てが反転したような気がするね。
だっちゃ って喋り方はうる星のアニメが社会的ブームになったときには結構流行ってたな それ以降はとんと見なくなったが
うる星やつらはちゃんと原作アニメ最終回を迎えたのに(まぁ視るけど)らんまやRINEの原作アニメ最終回はいつなのだろうか…。
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